ハクビシンから感染する病気は2つ!ペットへの健康被害や感染症の予防法

ハクビシンから感染する病気は2つ!ペットへの健康被害や感染症の予防法

 
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執筆・監修者
山中貴弘
ハクビシン駆除専門メディア「ハクビシン駆除プラス」を運営
害虫害獣の駆除歴13年。プロの視点から被害対策のアドバイスを、わかりやすくお伝えします。

野生のハクビシンは様々な菌を体に持っており、その中には人間に対して悪影響を及ぼすものも少なくありません。

またハクビシンからの感染被害は人間だけに限定された話ではなく、犬や猫などペットの体調にも悪影響を及ぼす場合があります。

そこで今回はハクビシンから感染する病気、ペットへの健康被害や感染症の予防法について解説します。

この記事を読むことでハクビシンからの感染被害を理解し、万が一感染してしまった場合でもスムーズに対処できるでしょう。

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ハクビシンとの接触で感染する病気

手 触れる

ペットや家畜と違いハクビシンは野生動物です。当然様々な菌を体に持っており、その中には人間に対して悪影響を及ぼすものも少なくありません。ハクビシンから人間へ感染する病気は大きく二種類に分類されます。

  • 爪・歯に触れることによる感染被害
  • ダニ・ノミを移されることによる感染被害

具体的な症例を見てみましょう。

噛まれることによる二次感染被害

ハクビシンは生活する上で様々なものに触れます。時には生ゴミを口にしたり、自分の糞に爪で触れたりすることもあり、その雑菌はそのまま爪や歯で繁殖することになります。
ハクビシンに噛まれることにより、菌は傷口から人間の体に侵入し、様々な健康被害を引き起こします。傷口を通る感染症は、いずれも即座に洗浄・消毒を行うことである程度防ぐことができます。
ハクビシンに噛まれることで発症する感染症にはどんなものがあるのでしょうか。代表的なものをご紹介します。

猫ひっかき病

猫ひっかき病は、バルトネラ菌が原因となり、動物から人間に移る感染症です。感染したノミの吸血により動物に感染し、その動物に負わされた傷から人間に感染します。有名なのは犬や猫ですが、ハクビシンもこの菌を保有しています。

代表的な症状は下記の通りです

  • 噛まれた傷のかゆみ・発熱
  • 膿みを伴う水疱の発生
  • リンパの腫れ
  • 意識障害

基本的には症状は軽度で収まることが多いですが、お年寄りや幼児など、抵抗力が低い人が発症すると重篤化する場合があります。

黄色ブドウ球菌感染症

黄色ブドウ球菌もハクビシンが口内に保有している細菌の一種。皮膚の症状を引き起こすことが多く、感染すると以下のような症状が出ます

  • 毛穴が腫れ、痛みを伴う吹き出物ができる
  • 皮膚の下に膿みを伴った腫れができる
  • 発疹のように赤く腫れ、発熱する

重篤化すると血液にも菌が入り込み、全身を巡って心内膜炎・骨髄炎・肺炎などを引き起こします。
ブドウ球菌感染症は抵抗力の弱った人が発症しやすい病気です。特にインフルエンザや白血病、糖尿病などにかかり治療している人には危険な感染症です。免疫低下の恐れがある疾患を抱えている場合、ハクビシンには近寄らないようにしましょう。

参考:MSDマニュアル|黄色ブドウ球菌感染症

サルモネラ菌感染症

サルモネラ菌はナマモノを通して感染する食中毒の菌として有名です。野生動物の口内や生活環境にも発生し、ハクビシンも口内に保有しています。

口から入った場合の主な症状は下記の通りです

  • 下痢・嘔吐
  • 痙攣
  • 発熱

このような食中毒の症状のほか、黄色ブドウ球菌と同じく、血中に入ると内臓や骨に炎症を起こします。この場合は各器官に痛みが出る、機能不全に陥るといった症状を引き起こします。また、内臓に膿を伴う腫れを発生させて菌の生産工場のようになると、症状が常態化し治療に時間がかかる場合もあります。

ダニ・ノミを仲介して感染する病気

ハクビシンの保有する菌の他にも、毛の中に住み着いているダニやノミを移されることがあります。一見するとただ痒くなるだけ、と侮りがちですが、ダニやノミはときに重篤な健康被害を引き起こすため油断は禁物です。一例をご紹介します。

疥癬(かいせん)症

ハクビシンによる健康被害で最も警戒すべきものの一つが、この疥癬(かいせん)症です。野生動物に寄生したヒゼンダニが人間に乗り移ることで起こる病気であり、ときには夜も眠れないほどの強い痒みを伴います。

放っておくと深刻化しますが、現在は皮膚科での治療が比較的容易となっています。いつもと違う痒みに襲われた時点で、早めに受診するようにしましょう。

疥癬症には通常疥癬と角化型疥癬の二種類があり、それぞれ感染力・症状に違いがあります。

通常疥癬

感染している動物や人間と長時間触れ合うことでダニが移動して感染します。ダニの数は数十匹以下と少ないのが特徴です。症状としては皮膚の強い痒みや、ブツブツとした赤い発疹、痛みを伴う関節の腫れなどが挙げられます。

角化型疥癬

疥癬症の中でも感染力が非常に強いのが角化型疥癬と呼ばれるものです。ダニの数は100万〜200万に登り、短時間の接触や、剥がれ落ちた角質を裸足で踏んだだけでも感染してしまいます。
進行すると皮膚の表面の角質が厚くなり、白く粉を吹いたような外観になります。こちらも強い痒みを伴い、放っておくと全身にまわります。

参考:東京都環境局 | アライグマ・ハクビシンに関する主な人獣共通感染症
参考:和歌山市感染症情報センター | 疥癬(かいせん)を正しく知りましょう

ノミのアレルギー症状

ノミの吸血時に注入される唾液によってアレルギーを起こすと、強い痒みが生じます。その他皮膚にブツブツと発疹が出るほか、ひどい場合は皮膚の表面に水疱が発生することもあります。

また強い痒みから手で掻きむしってしまい、外傷から雑菌が侵入する二次感染を起こす恐れがあります。
どちらの場合も皮膚科で治療が可能です。発疹が出た・痒みに襲われた段階で受診するようにしましょう。

ハクビシンは食べても大丈夫?

家屋に住み着いたハクビシンを自力で捕獲した場合など、殺処分するなら食べてしまう、という考えもあるかもしれません。結論からいうと、基本的に捕獲したハクビシンを食べることはおすすめできません。

家畜と違って品質管理された食肉ではないため、先述した病気を持っている可能性が大いにあります。また食肉として処理している途中でダニ・ノミに寄生されることも考えられます。リスクを承知の上でどうしても食べたい場合は、ベテランの猟師や獣医師など有識者の監督のもとで加工するようにして下さい。感染症や寄生虫に注意し、手袋と厚手の長袖を着用した上で作業するようにしましょう。

肉は中心が白くなるまでよく加熱し、できものや寄生虫など異常のある肉は即廃棄して下さい。また当然のことですが、生食は絶対にやめてください。

ハクビシンとSARSの関係について

2003年に、重症急性呼吸器症候群(SARS)の運び屋としてハクビシンが疑われたことがありました。SARSは中国から発生した新型の感染症であり、中国・台湾を始めとする32の国・地域で猛威を振るいました。死亡者も出たため当時は一大事件へと発展しています。

新型のコロナウイルス(SARSコロナウイルス)が病原体であり、感染した人のうち約2割が呼吸器不全などにより重症化する恐ろしいウイルスとしてWHO(世界保健機関)の警戒対象でした。当時、中国に生息するハクビシンがSARSの感染源ではないかという仮説が上がっていました。事態を重く受け止め、日本でもハクビシンの輸入を禁止するなどの対策が取られていました。

結果として、ハクビシンの持つコロナウイルスは新型のSARSコロナウイルスとは別種のものであり、感染源はコウモリであると特定されています。

しかしSARSの感染源ではありませんでしたが、ハクビシンは多くの病原菌を保有し民家に入り込んでくる生き物です。可能な限り接触は避け、侵入された場合も早々に対策を練る必要があるでしょう。

参考:国立感染症研究所 | SARS(重症急性呼吸器症候群)とは

ペットへの健康被害

ペット 被害

ハクビシンの健康被害は、何も人間だけに限定された話ではありません。犬や猫を始めとする哺乳類を飼育しているお宅であれば、ペットの体調に悪影響を及ぼす場合もあります。

ハクビシンから犬・猫に感染する病気

ハクビシンからペットに感染する病気としては、先述したノミ・ダニの被害が挙げられます。ノミの場合、ペットの血を吸い、強い痒みを伴うアレルギー症状が出ます。人間と同じように発疹ができる他、重症化すると体毛がごっそり抜け落ちてしまうこともあります。

ダニの疥癬(かいせん)症もペットに感染する病気の一つ。人間に感染した場合と同じ強い痒みと皮膚の炎症があります。症状に気づかず深刻化させてしまうと、皮膚の内部でヒゼンダニが繁殖し、体毛が抜け落ちていきます。ここまで進んでしまうと皮膚は荒れてしわしわになってしまっています。

どちらも早めに獣医師に診せることで早期発見が可能です。駆虫薬や専用のシャンプーなどで治療をおこないます。もし自宅のペットがしきりに体を掻きむしる、噛むといった仕草を見せるときは要注意です。野良犬や野良猫を拾った場合も、家にあげる前に獣医師に診せるようにしましょう。

参考:千葉県獣医師会 | 疥癬(かいせん)

飼い犬に狂犬病を移される可能性はある?

2019年5月現在、日本では50年に渡り、人畜含め狂犬病の発症例は報告されていません。狂犬病は発症するとほぼ100%の確率で死に至る恐ろしい病です。しかし、日本では飼い犬の狂犬病ワクチンの接種が義務化されているという背景があり、狂犬病に関してはほぼ撲滅された「清浄国」といっていいでしょう。

ただ、これは日本に限った話であり、2013年、台湾において狂犬病に感染したハクビシンが発見されています。海外からの再輸入の可能性がゼロではない以上、その危険性は頭の片隅においておく方がいいでしょう。
参考:鹿児島大学共同獣医学部

ペットを野生動物から守る方法は?

まず、犬や猫を屋外で飼育しないことが効果的な対策であると言えます。ネコを外飼いしている場合、ノミやダニをつけて帰ってくるほか、ハクビシンを始めとする野生動物との喧嘩により接触し、感染症を移される可能性があります。

犬の場合も同様で、特にハクビシンが周囲をうろついているような場合は、家を守ろうとして接触してしまう可能性があります。ネコの場合は外飼いの必要はないため、駆虫してから家に入れて屋内で飼育するようにしましょう。

犬も散歩のとき以外は屋内飼育が望ましいですが、番犬にしているなどの事情もあるでしょう。その場合は散歩などの際にときどきノミ・ダニをチェックし、動物病院での定期検診を欠かさないようにしましょう。

ハクビシンからの感染症を予防する方法

ハクビシンからの感染症や寄生虫の被害を予防する最も良い方法は、家にハクビシンを近寄らせず、自分から近寄らないことです。

そのためにはハクビシンの寄り付かない環境づくりが大切となります。ハクビシンに狙われない家を作るポイントご紹介します。

餌場を作らない

ハクビシンの巣は、必ず餌場の近くに作られます。そのため家の周囲にハクビシンの餌となるものがないかチェックが必要です。具体的には以下のようなところが餌場として狙われやすいです。

  • ゴミ出しの時間が守られていないゴミ捨て場
  • 電気柵で農作物が守られていない畑や果樹園
  • 手入れされていない家庭菜園
  • 廃棄作物がきちんと処理されていない畑

こういった状態が日常的に放置されている場所は、ハクビシンにとっては食べ放題のテーブルのようなもの。場合によってはご近所への相談が必要ですが、協力してハクビシンを居付かせない環境づくりをすべきでしょう。

屋内に侵入させない

住宅はハクビシンにとって居心地の良いねぐらです。特に屋根裏や床下はよく狙われて巣を作られており、気付いたら天井裏のため糞で板が腐っていた、などという事態も見受けられます。
ハクビシンの家屋への侵入には、必ず辿ってきた侵入経路があります。特にこんな家は要注意です。

  • 屋根から2m以内の距離に通じる雨どいがある
  • 家のすぐ横に電線が通っている
  • 背の高い庭木を植えている

これらは全てハクビシンの侵入経路となります。有刺鉄線や猫よけシートなどを駆使し、侵入を防止するようにしましょう。

ハクビシンを見かけても近寄らない

夜、たまたま道を歩いていてハクビシンと遭遇するような場合もあるかもしれません。ハクビシンは臆病な性格で、人間が近づくと大抵は逃げてしまいます。

しかし、こちらが興味本位で不用意に近づくと、身を守るために攻撃してくる可能性もあります。屋外でハクビシンを見つけても決して構うことのないようにしましょう。

早期発見のためのハクビシンチェックリスト

ハクビシンの餌場や侵入経路には、先ほどご紹介したもののほかにもチェックが必要な点があります。ハクビシンの健康被害は決して軽いものではありません。可能な限り確実に防ぎたいところです。

下記の記事にハクビシンの存在を早期発見するためのチェックリストがあります。少しでも不安な場合は一度確認してみてください。

まとめ

以上、ハクビシンから感染する病気、ペットへの健康被害や感染症の予防法をご紹介しました。

最後に要点を整理すると以下の通りです。

  • ハクビシンとの接触で感染する主な病気は「爪・歯に触れることによる感染被害」と「ダニ・ノミを移されることによる感染被害」。
  • ハクビシンはSARSの感染源ではないが、病原菌を保有しているため可能な限り接触は避ける。
  • 犬・猫など哺乳類のペットもダニの疥癬(かいせん)症に感染する場合がある。
  • ハクビシンからの感染症や寄生虫の被害を予防する最も良い方法は、家にハクビシンを近寄らせず、自分から近寄らないこと。

野生のハクビシンは様々な菌を体に持っており、その中には人間だけではなく犬や猫などペットの体調に悪影響を及ぼす場合があります。

万が一、ハクビシンと接触したことで体調に異変がある場合は、すぐに皮膚科や内科、動物病院等で受診するようにしてください。

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